~小ロット対応に挑み続ける~ 代表取締役 久保田 哲生
「国内でしかできない短納期、小ロット」
私がこの会社に入社した頃、長尺材のセンターレス研磨は同業者が少なく狭い業界なので、仕事には困らないなんて言われていたのですが、何年かするうち量産の仕事ほど、コストダウンの要求が厳しくなって来ました。最初は私も頑張ってついて行こうとしたのですが、海外製品を相手に価格競争をしていたら、うちみたいな小さな会社いつか限界が来ると思いましたね。幸いに、うちの会社の技術力や対応力を評価してくださるお客様も当時からいらっしゃったので、そういうお客様の期待に応える事が弊社のような零細企業の生き残る道ではないかと。価格が厳しいとは言え、量産品の仕事をお断りするのは勇気が必要でしたが、結果その穴を埋めるように小ロット・短納期の仕事や、他ではやらない手間のかかる仕事の割合が増えていった気がします。後になって思うと、毎日同じものを大量に作り続けるより、こまごまと種類の違うものを一点ずつ丁寧に作る方が性格にも合っていたようです。今はその頃から比べて、社員数や売り上げも少しは増えましたが、お客様の数は何倍にも増えて個別に対応するスポットの仕事が多くなりましたね。
「多種多様な鋼材加工の技術が必要」
毎日同じ作業の繰り返しと言うより、その都度に違う材料で違う寸法の加工だったりするので、加工する材料の状態や機械の段取りによって、楽に仕上がる事もあれば何時間も頭を抱えてしまう事もあるんですよね。機械にセットした材料がどんどん製品になる工場というより、材料と対話しながら一つずつ作品にする工房みたいなところもあります(笑)同じ製品を作るため同じ材料を仕入れても、入荷する材料の状態は違う事が多いので、品質を揃えようとしたら材料を仕入れる時に「前回と同じメーカー、同じ日に作った、同じロットナンバーのが残っていたら貰えますか?」なんてお願いする事もあります。「どんな状態の材料が入っても、同じ製品に仕上げるのがプロだろう」と言いたい所ですが、時には1/1000ミリの精度を要求する仕事では、そう簡単な事ではないんです。